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逸品「食材」

「むかご」は秋が旬の貴重な食材。別名「山芋の赤ちゃん」のお勧め調理法

むかご(零余子)は知る人ぞ知る秋の珍味。長芋や自然薯といった山芋類の葉の付け根部分にできる球芽のことで、1センチくらいの豆のような形をしています。

山芋の栽培過程において大量にできる副産物ですが、すべてを収穫するには非常に手間がかかることから、そのまま廃棄されてしまうことも多く、一般的なスーパーに出回ることはあまりありません。

道の駅や農産物直売所などで限定的に販売されているため、その認知度は人によってばらつきがありますが、一度食べたら忘れられない独特の味わいで、実は隠れファンの多い食材です。

むかごってどんな味?

長芋のむかごは長芋の風味、自然薯のむかごは自然薯の風味がつまっています。

素朴な味のなかにもコクがあり、ほのかな苦みと野性味あふれる香りが特徴です。

生で食べるとシャキシャキとした食感で少し粘り気があります。加熱するとホクホク、むっちりとした口当たりになり、クセになるような味わい深さです。

むかごの主な栄養分と効能

むかごには山芋と同じく粘り成分があり、免疫力向上効果も期待される栄養価の高い健康食材です。皮ごと食べるため食物繊維も多く含みます。

むかごの成分一覧

◯塩分バランスを整える「カリウム」

カリウムはナトリウムと一緒に働いて体内の水分と塩分のバランスを整えます。利尿作用や血圧を下げる効果があります。

◯消化酵素「アミラーゼ」

むかごには、でんぷんを分解し消化を助けてくれる酵素「アミラーゼ」が多く含まれていますが、加熱するとその効力は失われてしまいます。酵素の働きが期待できるのは、生食の場合です。

◯活力を生み出す「アルギニン」

うなぎに多く含まれる成分「アルギニン」が、むかごにも含まれており、滋養強壮の効果が期待されています。


むかごの食べ方と調理法。おつまみからスイーツまで

むかごは皮ごと食べる食材ですが、むかご特有の香り(土臭さ)を抑えたい場合は、すり鉢やザルの中でむかごをこすり洗いし、皮の表面を軽く落としてから調理してください。

特有の香りやえぐみは皮に含まれているため、この下処理をしておくことで、土臭さやえぐみが軽減し、マイルドな味わいにすることができます。

  • 生食

    むかごは皮が薄いので、きれいに洗うだけで皮ごとそのまま生で食べられます。土臭さが気になる場合は下処理をしておきましょう。シャキシャキとした食感と粘り気を生かした料理がおすすめです。その他サラダのトッピング、納豆やオクラと混ぜたり、和え物、漬物などにも合います。

  • 茹でる(塩茹で)

    むかご本来の味を堪能できます。おつまみにおすすめです。以下の通りに茹でるとより美味しく食べられます。

    1.むかごをよく洗い、1%程度の塩水で水から茹でる。

    2.沸騰したら火を弱め、5分くらい茹でる。

    3.好みの柔らかさになったらザルに上げて水気を切る。

    (長めに茹でると、ねっとりとした味わいになります)

  • 炊く

    むかごの定番料理といえば、むかごご飯(炊き込みご飯)でしょう。米2合に対し、むかご100gくらいが目安です。おいしく作るポイントは、前述の「下処理」をしておくこと。炊き込みご飯の場合は、むかごをそのまま使うと香りが強すぎてご飯全体が土臭くなってしまうので、しっかり下処理をしておくことが大切です。

  • 蒸す

    蒸し料理は旨味を逃さずに品よく仕上げられるのが魅力。魚のすり身にむかごを混ぜて蒸しあげる、むかご真丈(石垣真丈)がおすすめです。

  • 煮る

    スープやみそ汁の具、ポタージュなど。

  • 焼く

    お好み焼き、チーズ焼き、スパニッシュオムレツなど。ホクホク、むっちりとした食感が生かせます。

  • 炒める

    シンプルなバター炒めは、おつまみにぴったり。むかごは軽く下茹でをしてから炒めると中までふっくら仕上がります。半生に炒めて、しんなりとした食感にしてもおいしい。むかごが茶色いので、色味の良い食材を組み合わせるのもおすすめです。

  • 揚げる

    素揚げ、てんぷら、かき揚げ、フライ、コロッケなど。松葉串を刺すなどして、品よく盛り付けたいところです。素揚げして甘辛あんをからめても美味しい。※油で揚げることで土臭さやえぐみがとれるので、下処理(アク抜き)は不要。

  • デザート・スイーツにも

    ころんとした可愛い形状と、ホクホクむっちりとした食感はデザートメニューの材料としても幅広く活用できます。大福や羊羹、ケーキ、ジェラートなど、「あずき」の代わりのような感覚で捉えると、様々なスイーツのアイデアが出てくるのではないでしょうか。

むかごを使うときの注意ポイント

むかごを洗う時には、傷んだものがないか確認しましょう。ぷっくりと張りのあるものが良いむかごです。また水に浮いているものは中身がスカスカだったり傷んでいるので取り除きます。

むかごの大きさにばらつきがある場合は、火の通りが均等になるよう、大小で選別して使い分けましょう。

保存中、芽が出てきてしまった場合は、すり鉢の中で揉むようにして洗うことで芽の部分が取り除けます。(むかごの芽に毒性はありません。)

むかごの保存方法と保存期間

むかごは乾燥に非常に弱く、湿度にも敏感で傷みやすい食材です。保存中は、しわしわになったりカビが生えたりしていないか状態をときどき確認することが必要です。

またそれぞれ常温/冷蔵/冷凍によって保存期間や保存方法も変わります。以下を参考にしてみてください。

◯「常温保存」 保存期間:1週間

段ボール箱などにおがくずを詰め、その中にむかごを埋めて、冷暗所に置いておきます。

◯「冷蔵保存」 保存期間:2~3週間

湿らせたキッチンペーパーや新聞紙でむかごを包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存します。

◯「冷凍保存」 保存期間:約1か月

むかごをきれいに洗って水気を切ったら、平らになるようにしてフリーザーバッグに入れ、冷凍庫で保存します。

※凍ったまま調理できます。解凍した場合は2日以内に使い切ること。

一度解凍したものを再度凍らせてはいけません(再冷凍は厳禁)

味が落ちるだけでなく、食中毒の原因となる菌が繁殖することもあります。

むかごの販売時期について。通販可能な仕入れ先の紹介

むかごの一般的な収穫時期は9月から11月頃。産地によって多少のズレがありますが、旬の時期は10月から11月頃なので、販売期間も9月頃から始まり、なくなり次第終了といった場合が多いです。

代表的な産地は北海道と青森県ですが、むかごは山芋の副産物ですので、山芋を生産している農家であれば、多少なりともむかごを扱っている可能性があります。直接生産者と仕入れ交渉してみるのも一つの方法です。

チーム むかご

広島県産、青森県産のむかご販売を請け負っている一般社団法人。

料理研究家の枝元なほみさんが立ち上げた団体で、消費者と生産者が豊かな食でつながれるよう、農業支援事業に力を入れています。

オリジナルのレシピがとてもおしゃれで、アイデアの参考にもなります。

自然薯農家せんチャンファーム(広島県)

広島県三原市久井町、標高375mの高原の地で自然薯を育てています。

畑にネットを敷き、葉の付け根からむかごが自然落下するまで待って収穫した「完熟むかご」を販売。

収穫した後、半日天日干しをして一日陰干し。選別後2.7度の大型保冷庫で寝かせています。

カガヤキ農園(新潟県)

新潟の沢海で農業を営んでいます。長芋のむかごを産地直送。

生産・梱包・発送まで一貫して行うことで、安心・安全な農産物を良心価格で提供中。楽天ショップも運営しているので、商品レビューが参考になります。

自然薯家(神奈川県)

天然物以上の品質を求めて、自然薯を1本1本丹精込めて育てています。

丹沢大山の麓、肥沃な大地で育てた自然薯を通年販売しており、むかご(冷凍)の購入も可能です。

逸品グルメでの仕入れも可能

ご紹介した自然薯家のむかごは逸品グルメでの購入・取り寄せも可能です。

【結びに】

長芋や自然薯以外に、「ニガカシュウ」という蔓性植物があり、これもむかごを形成しますが、その味はとてつもなく苦く、食べられるような代物ではありません。見た目がとても似ているので、自生している山芋のむかごを採取する場合は、不用意に口にしないよう注意しましょう。市場で流通しているむかごであれば、安心です。

参考にしたサイト様

(順不同)


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