『鱸(スズキ)』は夏の出世魚
『鱸(スズキ)』はスズキ目スズキ科の海水魚で、全長は90cm程になる個体もあり、全体に銀白色で背は青黒く、細長くてスマートな形をしています。
その形の美しさから“タイに次ぐ美しい魚”とも言われています。
今回は涼を感じさせる爽やかな魚『鱸(スズキ)』をご紹介します。
目次
鱸(スズキ)とは
“涼を感じさせる爽やかな魚”と前述した通り、鱸は夏の代表的な白身魚です。
ここでは鱸の基本情報についてご紹介します。
鱸(スズキ)は夏の出世魚
鱸はブリなどと同じように、幼魚から成魚になるまでの間に名前を変える“出世魚”として有名です。
1年で生涯を終える年魚とは違い、産まれてからゆっくりと成長していきます。
地域によって呼び方は異なってきますが、一般的に全長20~30cm(1、2年もの)のものは“セイゴ”、全長40~60cm(3、4年もの)のものは“フッコ”、全長60cm以上(およそ4年以降)の成魚は“スズキ”と呼ばれています。
80cmを超える個体になるには10年を要すると言われる、生命力溢れる魚です。
鱸(スズキ)の由来
なぜスズキという呼ばれ方をされているかは諸説あり、たとえば“スズキの身はすすぎ洗いしたように綺麗な身だから”、“勢いよく泳ぎまわり、進き(ススキ)が早いから”などの説があります。
また、漢字の由来は白い体に黒い模様がついていることから、魚偏に黒い色を表す“盧”で鱸となったそうです。
鱸(スズキ)の産地
鱸は泳ぎ回るため、北海道から鹿児島と日本全国に生息しています。
また、台湾、朝鮮半島、中国と広く分布する海水魚です。
大きな河川が流れ込んでいる内湾や、その沿岸部の磯でも獲ることができます。
漁獲量の最も多いのは千葉県で、全国の4分の1を占めます。
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旬の時期
“冬のヒラメ・春のタイ・夏のスズキ”がその季節を象徴する、白身魚の代表と言われています。
鱸は、年間を通して漁獲されますが、10~3月の産卵後は身が痩せているため、産卵前の6~8月の夏がよく太って脂も乗り旬とされています。
また、秋から初冬に西日本で見られる、子持ちで脂のノリも良い“太腹スズキ”も美味しいと言われています。
鱸(スズキ)の栄養素
夏の出世魚と呼ばれるだけあって、鱸は夏バテにも良いとされています。
そんな鱸の栄養素についてご紹介します。
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高タンパク低脂肪
鱸は高タンパク低脂肪の白身魚です。
良質なタンパク質で、体力向上、代謝の促進、免疫力の向上をさせるはたらきがあります。
いかにも夏バテに良さそうな効果が期待できるので、夏の鱸は氷水で締めた“洗い”で涼を感じながら食べるのが人気です。
ビタミンD
鱸はカルシウムの濃度を調整し一定に保ったり、カルシウムやリンの吸収を助けるはたらきをするビタミンDを多く含むため、骨の形成の促進や、骨粗しょう症の予防にもなります。
そのほか、高血圧の予防、コレステロールの低下などにも効果がある栄養素を含んでいます。
鱸(スズキ)を美味しく食べる調理法
鱸の身は透明度の高い白身で、カルパッチョやマリネ、塩焼きやソテー、あら炊きとしても人気があります。
ここでは、色々な調理法が人気の鱸中でも、特に美味しいと感じた調理法をご紹介します。
鱸(スズキ)の洗い
薄造りにしてから氷水で締める方法もありますが、少し厚めの刺身にして、流水にさらしてから氷水で締める“洗い”がオススメです。
少し脂が落ちてるはずなのですが、口にいれると不思議と甘味が増してるように感じて大変美味です。
夏にぴったりの逸品です。
鱸(スズキ)の奉書焼き
島根県松江市の郷土料理に、“鱸の奉書焼き”というものがあります。
江戸時代、漁師たちが灰の中で蒸し焼きにした鱸を食べていたところ、それを見た松江藩主 松平不昧公が見て、食べたいと要望したところから誕生したとされています。
さすがに灰のついたままお渡しするのは恐れ多いとなったため、濡れた奉書(和紙)に包んで蒸し焼きにした魚を献上したのが喜ばれ、郷土料理として定着したそうです。
塩を振った鱸を、酒と水で濡らした奉書で包んで蒸し焼きにします。
楮(コウゾ)を原料とした奉書は、焼く時に芳ばしい香りをさせ、鱸の身をしっとりふっくらと仕上げます。
島根県松江市の郷土料理『鱸(スズキ)の奉書焼き』
結びに
鱸は色々な料理に合う一級品の白身魚です。 また近年では、“シーバス“として、ルアーフィッシングでも人気があり、エラ洗いと言われるジャンプが見どころの一つのようです。
食欲の落ちる夏には、シャキッと身が締まった鱸の洗いで夏バテを解消しましょう。