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和歌山県の「有田みかん」を守る!かっこいいみかん農家小澤さん。

みかんの生産地として名高い和歌山県。有田地域で生産されるみかんは「有田みかん」として地域団体商標に認定されています。有田みかん農家として6代目を継いでいる小澤光範さん。今回の逸品グルメコラムでは「かっこいい農家」小澤さんをご紹介します。

みかん農家小澤光範さんのストーリー

小澤光範さんは近畿大学農学部を卒業後、商品開発や販売企画を行う企業で農産物マーチャンダイザーとして働いていました。実家は代々伝わるみかん農家だったのですが、小澤さんは後を継ぐ気など一切なかったそうです。

しかし、2013年に運命の出会いがありました。東北のある農家さんが当時発展途上だったSNSを使ったマーケティングを行い、消費者への直売を考えていたことを知ります。また、その方は齢65歳。小澤さんと同じ歳くらいの息子さんが後を継いでいました。小澤さんは息子さんに家業を継いだ理由を聞いたそうです。

「お父さんがかっこいいから」

子供の頃から、汚れる上に儲からない農業を嫌って選んだサラリーマンの道。自分の父親に対して「かっこいい」と思えなかったそうです。しかし、同世代が自分の父親に対して「かっこいい」と話す姿に感化され、実家のみかん農家を継ぐことを決意しました。SNSを使ったマーケティングを工夫すれば、販売量を増やしながら親孝行できるかもという考えもあったそうです。

現在は先代からみかん農法を学びながら、SNSを活用して販路を拡大しています。非公認ゆるキャラ「みかんのみっちゃん」に変身して有田みかんの本当のおいしさを知ってもらうための活動もしています。

有田みかんのみっちゃん農園とは

みっちゃん農園では有田みかんをはじめとして、はっさくやレモンなど60種類の柑橘類を生産しています。市場出荷をする一方で、SNSを通じて消費者への直売も行っています。そんなみっちゃん農園を継いだ小澤さんが最初に直面したのは、人手不足です。

全国的に農業従事者の年齢は、他の産業に比べて高いことで知られています。みっちゃん農園も同様で、人手が必要なみかんの収穫期には、高齢の両親が体にムチを打って働いていました。しかし、人手が必要なシーズンはスポット的に限られていることもあり、若者が継続的に農業を行う環境ではありませんでした。

そこで小澤さんはイベントで知り合った方の仕組みを借ります。「援農キャラバン」という若者を派遣して農家体験をする仕組みで、収穫の時期には20人ほどの若者に手伝ってもらっているそうです。現在ではSNSを通じて小澤さんに直接「手伝いたい」と連絡してくる方もいるのだとか。

販売から生産性の向上まで、色々な面でSNSを活用して農業を行っているのが6代目みかん農家小澤光範さんなのです。

「かっこいい」ですよね。


冬の風物詩みかんは年中作業が必要な果物

みかんの旬は冬といわれていますが、生産者側としては年中作業が必要です。有田みかんは11月頃からの「早生」が最盛期を迎えます。おいしい有田みかんを作るためには、年中休み無しの農作業が必要です。

春に発芽が始まり5月にみかんの花が咲きます。6月の生理落果という果樹の自然現象を経て7月~10月までで果実の肥大期間に入ります。10月~12月が成熟期、1月~3月までが休眠期です。まるで山で冬眠する動物のようなみかんですが、生産農家は冬眠期間でも多くの作業を行わなくてはなりません。

5月の開花から収穫可能期間までは、病害虫との闘いです。さらにおいしくするために、追肥や摘果などが欠かせません。写真は収穫の様子です。しかし、収穫以外にも多くの作業が必要になるのがみかんなのです。

気温が1度違えば生育方法もガラリと変わるみかんの難しさ

みかんの収穫適期は毎年異なります。気温が1度違うだけで収穫時期はもちろん、病害虫対策など多くの作業が変わります。毎年同じ作業スケジュールではないのです。

季節ごとの気温変化も重要です。近年では暑すぎる夏や多くの台風が発生しています。高温で乾燥状態が続くとみかんの木が弱ってしまいます。弱ったみかんの木が台風による強風で実を落としてしまうのです。台風による落果は、果実農家にとってはかなりのダメージです。

みかんの木の植え替えも重要な作業です。みかんの木の寿命は30年~40年です。6代目を継いでいる小澤さんの世代で全て植え替えが必要になります。古い木を切って新しい木を植える。年間100トンのみかんを収穫するには2000本のみかんの木が必要なのだとか。

おいしいみかんを作るためには様々な対策が必要になります。冬の風物詩みかん。生産者たちが一生懸命に病気や災害からみかんを守っているからこそ食べられるのです。

6代目和歌山有田みかん生産農家がこだわるのは「みかんのおいしさを伝えること」

6代目和歌山有田みかん生産農家小澤光範さんがこだわるのは「みかんのおいしさを伝えること」です。その中でも、生産していく上で、「規格外」というモノがあり、定めた基準に達していない農作物は、市場出荷ができません。できたとしても二束三文にしかならないのです。

規格外になったみかんだからといっても、味が全く落ちるわけではありません。見た目やサイズなどが違うだけで立派な有田みかんなのです。小澤さんはこうした「規格外みかん」のおいしさをもっと消費者に知ってほしいと考えています。規格外のモノは加工食品に流用するなどしています。

しかし、小澤さんの目的は「規格外みかん」を作ることではありません。販路拡大をして大富豪になることでもありません。和歌山の有田みかんを守るためにA級品の価値をさらに上げることです。伝統の栽培方法を学びながら、農薬を極力使わないようにすることや新農法を試して、廃棄みかんを減らすようにしています。

徐々に自分のお父さんに対して「かっこいい」と思えるようになったのだとか。次は光範さん自身が「かっこいい」と次の世代に言われるように、新しい農家の働き方を実践していきたいそうです。

逸品グルメでは「かっこいい」みかん農家、みっちゃん農園に今後も注目していきます!


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