逸品「食材」
生きている生味噌!桝塚味噌の絶品豆味噌『とろみそ』
日本の伝統発酵食品”味噌”。その中でも最も歴史が古いと言われるのが、主に東海地方で食されている“豆味噌”です。
愛知県の名産“八丁味噌”を思い浮かべると分かるかもしれません。
今回ご紹介する、桝塚味噌の豆味噌『とろみそ』は、固定観念を覆す絶品の豆味噌です。
目次
豆味噌を知る
味噌は麹の原料によって、米味噌、麦味噌、豆味噌に分類されます。
また、これらを混合したものを調合味噌と言います。大きく分けると味噌の分類はこの4種類です。
その中でも豆味噌は、全国生産量のたった5%と希少な存在です。豆味噌とはいったいどんな味噌なのか、産地や特徴についてご紹介します。
豆味噌の産地と特徴
豆味噌は、愛知県を中心に東海地方で生産されています。有名な“八丁味噌”は、製法・原料・熟成などに関して国が細かく定める基準を満たし、さらに愛知県で作られた豆味噌のみが名乗れるブランドです。
愛知県は、高温多湿な気候であり、味噌造りで重要な製麹過程で腐敗することが多く、通常の製法では安定した味噌造りができませんでした。
そこで、豆味噌は高温多湿でも安全に麹を造るため、大豆は茹でず、蒸した後に玉にしてから麹菌をつけ、全量を豆麹として長期熟成させる「味噌玉造り」という製法が大きな特徴となりました。
米味噌や麦味噌と異なるこの製法は、大豆を茹でずに蒸すことで、大豆の栄養価やうまみ成分が水に流れることなく、丸ごと摂取することができる嬉しい味噌に仕上げます。
気になる塩分は、一般的に最も食される米味噌が約12%なのに対し、豆味噌は約11%と、実は塩分控えめなのです。
桝塚味噌の名品「とろみそ」のこだわり
愛知県豊田市と岡崎市の端境にある「桝塚味噌」。蔵に入ると、高さ約3メートルの木桶がずらりと立ち並びます。
まさに木桶の森といった圧巻な光景とは反対に、穏やかなオルゴールの流れる中、「とろみそ」はゆっくりと育てられています。
昔ながらの天然醸造へのこだわり
現在、一般的に販売されている多くの味噌は、人工的に温度を調節することで酵素や微生物の働きを活発にし、短期間で作られています。
「桝塚味噌」では、温度調節をせず自然に任せ、四季の移り変わりを経てゆっくりと熟成させる天然醸造にこだわって作られています。
その期間はなんと18ヶ月以上。技術の発達が目まぐるしい昨今に非効率と思われますが、「とろみそ」には技術では作り出せないコクや香り、旨味や深みがあります。
木桶仕込みへのこだわ
味噌=木桶で仕込まれている、と思っている方は多いかもしれません。
しかし、現在の味噌造りの大半はステンレスのタンクで作られているのが現状で、木桶で仕込まれている味噌は全体の約5%と言われています。
「桝塚味噌」では全ての味噌が木桶で仕込まれています。 それも高さ約3メートルの大桶がメインで、他にも木桶で仕込んでいるところはありますが、これほどまでの大きな木桶が立ち並ぶ味噌蔵は全国探してもそうはありません。
木桶には使い込むにつれ酵母菌、乳酸菌などが棲みつきます。その菌たちが味噌の熟成、発酵を促し、味にコクやうまみ、深みを醸し出してくれるのです。
「桝塚味噌」で一番古い桶はなんと150年前のもの。しかもまだまだ現役というのが驚きです。
味噌の中の味噌「とろみそ」
天然醸造、木桶で仕込まれる桝塚味噌の味噌、その中でも絶品の味噌が『とろみそ』です。
高さ約3メートルの木桶に仕込まれる味噌の量は10トン、その大桶の中心部のみを取り出したものが『とろみそ』と呼ばれ、全体の約5%しかとれない貴重な味噌です。
桶の中心部は、重さのかかり具合、圧力、熟成がほどよいため、味やうまみのバランスが絶妙な味噌ができあがります。
また、中心部であっても工場長が認めたものでないと、『とろみそ』にはなりません。『とろみそ』はまさに味噌の中の味噌、選ばれし味噌です。
『とろみそ』には大豆の粒がしっかり残っており、つやつや輝く大豆はまるで味噌のダイヤモンド、思わずうっとりしてしまいます。
実は粒が残っている豆味噌はご当地愛知県でも珍しく、出来上がった味噌の大半は擦り機で擦ってから出荷されます。製品にするには擦った方が都合がよいのです。
しかし、機械を通す事で熱が加わり、味噌の香りが減少してしまいます。
桝塚味噌の『とろみそ』は、機械を通さず、桶から出したての新鮮な味噌を優しく手包みで包装しています。発酵を止めるための加熱処理や、アルコール添加も一切されていません。
そんな桝塚味噌の『とろみそ』、食べてみると豆味噌でよく言われる塩辛さ、渋みがいっさいなく、口の中にはギュッと濃縮されたうまみと香りが広がる、なんとも言えないおいしさです。
「とろみそ」が買える「桝塚味噌(ますづかみそ)」
「桝塚味噌」のこだわりの味噌造りについて聞いていくと、自信をもって育て上げた味噌を大切にしたい、美味しく食べてもらいたいという気持ちがひしひしと伝わってきます。
ここでは、「桝塚味噌」の紹介と店舗情報についてご紹介します。
蔵元 桝塚味噌
前述した通り、愛知県豊田市と岡崎市の端境にある「桝塚味噌」は、現在も天然醸造にこだわる蔵元です。 「味噌とは決して作るものではなく、育て上げるものだ。」という初代の教えから、「嘘のない素直な味噌造りがしたいだけなんです。」と語る当代は、日頃からひたすら味噌を愛し、時代の流れに左右されることなく古来の方法を守るっています。 文化・伝統といわれた数々の食品も、合理化のためとばかりに安易な手段の選択がされる中、“古き良き”を守っていく事で、特別な味噌は生み出されています。
店舗情報
店名 | 蔵元 枡塚味噌 |
ジャンル | 味噌 醤油 米こうじ 他 |
電話番号 | 0565-21-0028 |
住所 | 〒470-1213 愛知県豊田市桝塚西町南山6 |
H P | http://www.masuzuka.co.jp/ |
結びに
「桝塚味噌」の『とろみそ』は、定番のお味噌汁はもちろん、野菜スティックにつけて食べてもよし、ご飯にのせて食べるもよしの美味しさです。
味噌独特のまったりとしたくどさがなく、すっきり食べられるお味噌です。
ご当地でも隠れファンが多いと言われる『とろみそ』、いつもは米・麦味噌派の方も、一度は試してみる価値ありですね!