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逸品「食材」

鹿児島のうなぎは「日本一」。歴史や名店と養殖環境から探る職人のこだわり

きれいな水で育つ国産うなぎ

豊穣の水に支えられたうなぎの生産地

うなぎと聞いて真っ先に思い浮かぶ地域は静岡県。

そう言われてきた常識は覆るかもしれません。

今、その豊富な供給量と品質から、鹿児島県産のうなぎに注目が集まっています。

実は鹿児島県大隅地区は国内最大のうなぎ養殖産地。長い年月もの間、シラス台地 (※)によって「ろ過」された水は、うなぎの養殖にうってつけな高品質な水です。

※シラス台地:火山灰などの火山噴出物が積み重なってできた大地

また鹿児島県は年間を通して温暖な気候が特徴です。結果的に水温が安定し、1年を通しての供給が可能となり、鹿児島県は良質なうなぎの養鰻大国となったのです。

生産だけに留まらず、うなぎを生産から加工まで地域で一貫して行えるような取り組みも行われています。鹿児島県の恵まれた生産環境から生まれる加工商品はとても美味で人気があり、最近ではふるさと納税の返礼品としても人気の品です。

鹿児島うなぎの仕入れ方法と市場に出回る時期

一般的なうなぎの仕入れは以下の通り。ただし仕入れを行う際にはそれぞれメリットやデメリットがあります。

以下にまとめましたのでご参考ください。

仕入先別のメリットとデメリット

  • 市場での仕入れ

現地に料理人が赴き、目で見て確かめることが出来るのが利点です。ただし、市場での独自のルールがあったり、大きな市場でも1週間に2日ほどの休みがあるので店を毎日開ける場合には在庫のやりくりが必須となります。

  • 養殖場との直接取引

ロット数や価格の交渉が必要となりますが、養殖の環境を把握した上で取引ができるのが魅力です。業務用としての卸価格を求める場合には必要な量をよく把握した上での発注が必要です。レストランがうなぎを新しくメニュー開発に取り入れる場合などは特に注意が必要でしょう。

  • ネット上のプラットフォームを活用

直接のやり取りがないため、発注の手間が軽減します。しかし、うなぎを実際に見てから購入するわけではないため、手元にくるまで状態がわかりません。そのためネット上の情報や写真が信用できるか見極める必要があります。

  • 水産事業者との取引

安定した供給が得られる点、事業者の目利きがすでに行われているという利点があります。

鹿児島県産のうなぎの白焼きや蒲焼きが手に入る『株式会社大隅淡水』

株式会社大隅淡水では鹿児島県産のうなぎを使った蒲焼きや白焼きなどの加工食品が販売されています。仕入れ後には厳密な品質チェックがされており、鹿児島県産ならではのうなぎを味わうことができます。

養殖ものと天然ものでは旬の時期が違う

うなぎは天然ものの場合、水温が下がる秋から冬が旬とされています。

養殖ものは養殖技術の向上により、水温の調整が一年中適切に保たれるようになりました。それにより最近では一年中美味しいうなぎを食べることが出来ます。

鹿児島県産のうなぎの選び方

ここでは鹿児島県産含む、一般的なうなぎの選び方についてご紹介します。

水槽で泳いでいるうなぎを見る場合、まずは尾に注目し、傷のないものを選びましょう。店頭でしめられたものを選ぶ際は、皮がたるんでいるものや、表面に傷のあるものは避け、体長の長い、かつ太っているものを選ぶことが大切です。


鹿児島県産うなぎの基本的な調理法とうなぎを使った料理

うなぎの開き方

加工場では納品先によって背開きと腹開きを分けています。ここでは一般的に広く知られている「関東風」と呼ばれる背開きの方法を紹介します。

はじめに目打ち可能なまな板を用意します。うなぎはまな板が乾いているとはりついてしまうのでまな板に水を流し、よく洗っておきましょう。

うなぎは背びれのあたりに親指を当て軽く掴み、うなぎの頭を右、背を手前にし、まな板にのせます。胸ビレの所に素早く押し刺すように包丁を入れ、一皮残します。

目の下のあごの部分を狙って目打ちして固定しましょう。先ほど切れ目を入れたあたりから包丁を入れて背開きします。頭の切り口から切っ先を差し入れ、中骨上面の胴を割きます。切り進む最中は支えている左手の人差し指を腹側の皮に当て、皮を貫通させないよう注意を払いましょう。身を開いて肝を指でつまみ、両はしの付け根を外して内臓を取り除きます。

次に中骨の処理です。頭の方から中骨と身の間に包丁を差し込み、包丁を引いて中骨を剥がしとります。

頭を切り落とし、残り骨を削ぎ落としたら、腹部に残る血わたなどは包丁でこそぎ落としましょう。

最後に尾の先端を少し残して切り口を入れたら、尾の先端部をつまんで切っ先を胴体に沿わせるようにしてヒレを引き取ります。腹ビレも同じように取り除いて完成です。

さばいている様子を見てみたい方は以下の写真付きサイト、YouTubeがおすすめです。

◯Honda釣り倶楽部

◯さばけるチャンネル

うなぎを使った料理

うな重や鰻丼のような蒲焼以外にも、汁物や煮物など、うなぎには様々なバリエーションの料理があります。

  • 焼き物

白焼き、蒲焼き、八幡巻き、塩焼き、肝焼き、ひれ焼き、うざく・酢の物、う巻きなど

  • 煮物

湯引き、煮つけや佃煮、すき焼き、柳川鍋(どじょうの代わりに用いられる)、半助豆腐(関西風の頭のついたうなぎの蒲焼の頭を使って豆腐と甘辛く炊いたもの)など

  • 汁物

肝すい、マトロット(フランス料理、淡水魚の赤ワイン煮)、アールズッペ(ドイツ料理、ぶつ切りにして骨を抜いた鰻と乾燥杏などを長時間煮込んだスープ)

鹿児島県産のうなぎの職人に学ぶ

鹿児島県では養殖池別、サイズ別に分けてのうなぎの割き作業、細かい調節が可能な焼きの機器の導入など、徹底した品質管理が行われており、新鮮なうなぎをさらに美味しく食べることができるようになっています。また、加工食品を保存するための冷凍技術や真空技術が取り入れられており、美味しさだけでなく、安全に提供できるような取り組みも行われています。

泥臭さをなくすのには餌が鍵だった

水質と温度の管理はもちろん、”餌”は美味しいうなぎが育つ上で重要なポイントです。うなぎの餌は養鰻場毎に独自の配合技術があり、中には鹿児島県の産地で有名なニンニクや黒酢を加えるという生産業者もいます。餌そのものはもちろん、餌への食い付き具合なども毎日細かく管理され、生産業者は出荷前に試食を行い、狙った味わいが出せているのか、泥臭さがないかをチェックしています。

【結びに】鹿児島県産のうなぎを追って

鹿児島うなぎは恵まれた環境の中で伸びやかに育ち、地域一体となった生産と加工の連帯によってブランド化への道を歩んでいる最中です。味がよく、泥臭さがないことや、個体の大きさなども安定していて使い勝手が良いのでメニューに組み込みやすいと言えるでしょう。一度手にとって調理してみてはいかがでしょうか。

参考にしたサイト様


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