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販売・仕入先

カネサ鰹節商店の鰹節。最も美味しくする製法の1つ、手火山式焙乾製法とは!?


もっとも美味しく、もっとも危険と言われる鰹節の製法、手火山式焙乾(ばいかん)製法を受け継ぐ。
創業明治15年。130余年の伝統を受け継ぎ、昔ながらの味をお届けしている西伊豆田子(たご)地区のカネサ鰹節商店をご紹介します。

鰹節の名産地・生産量


日本全国の鰹節の生産量は、上から順に1位 鹿児島県・2位 静岡県・3位 高知県という順番になっています。
この順位からもわかるように、かつおぶしは明治時代から薩摩節(鹿児島県)、伊豆節(静岡県)、土佐節(高知県)が名産品とされ、 ブランドとなっていました。
今回ご紹介するカネサ鰹節商店は静岡県の伊豆の鰹節です。
かつて伊豆にも鰹節の一大産地があり、鹿児島、高知と並ぶ独自の製法を誇っていました。
伊豆でつくられる伊豆節は西伊豆の田子の集落に伝わる手火山式焙乾製法で作られる鰹節のことです。
もっともおいしい製法と言われる一方で、もっとも危険でもっとも効率の悪い製法とも言われ 今ではその伝統を受け継ぐ鰹節店は3軒にまで減ってしまいました。

そんな伝統の手火山式焙乾製法とカネサ鰹節商店をご紹介します。

鰹節の歴史と西伊豆の田子地区の手火山式焙乾製法の歴史


焙乾して水分を抜く鰹節の製造方法が確立したのは、17世紀中ごろの紀州(和歌山県)印南(いなみ)町だと言われています。
これが土佐や薩摩へと伝りました。
その後、その製造方法を知る土佐の与一が1801年(寛政13)にカツオ漁が盛んだった西伊豆へ呼ばれ、 発酵カビ付けの工程を加えた改良土佐節を教えたと言われています。

この改良土佐節は発酵カビ付けと天日干しの回数を増やすと水分がよく抜け、保存性と品質が向上すると話題になり、これが江戸で高く売れました。
商人たちは4回以上カビを付けた鰹節を西伊豆田子に求めるようになり、本枯れ節「伊豆田子節」が誕生したと言われています。

伊豆田子節の手火山式焙乾法

鰹節の違いの記事でも詳しくご紹介した鰹節の製法は大きく分けて4段階。
1.切る、2.煮込む、3.焙乾する、4.カビ付けする。
(鰹節の詳しい製法などはこちらの記事へ)

そのなかで手火山式焙乾法が特徴は、 3.の焙乾をする際に強い火をカツオに当てるということです。
高温で一気に焼くことで表面をコーティングし、 うまみを中に閉じこめることができます。

その代わりに、ずっと見張っていないと焦げやすく、職人への負担が非常に大きいのです。
これがもっとも危険と言われるゆえんです。

強火で一気に焼くことで焙乾回数が少なくなりますが、その分、水分が取りきれず、
発酵カビ付けと天日干しを6〜8回繰り返して水分を除去しなければいけなくなり、カツオの大きさと天候に応じて商品になるまでに4〜6カ月もかかります。
これがもっとも手間がかかると言われるゆえんです。

カネサ鰹節商店の歴史


独自製法とブランドを作った西伊豆の田子地区ですが、当時は40軒ほどあった鰹節生産者もいまでは3軒を残すのみとなってしまいました。
そのうちの1つがカネサ鰹節商店です。
カネサ鰹節商店創業明治15年。130余年間、この西伊豆に伝わる伝統を受け継いでいます。

伝統を守るという想いから鰹節と合わせて「潮鰹(しおかつお」という鰹の保存食の製造も行っています。

食の世界遺産「味の箱舟」に認定された「潮鰹」


鰹節が誕生するまでの鰹の保存方法であった「潮鰹」
“かつお節”の歴史は650年前からといわれていますが、潮鰹は、なんと平城京跡から見つかった文献に既に記載されているほどで1300年以上の歴史があります。
2014年に世界遺産「味の箱舟」の認定をうけました。
世界遺産「味の箱舟」プロジェクトは
世界160カ国、100万人以上のネットワークを持つ、世界規模の組織「スローフード協会」が推し進めているプロジェクトの1つで
地域の食生活や食文化にとってはとても大切な食材ではあるけれども、現在の経済効率優先社会の中では、消えていきそうなものを支援をするという取り組みです。

「潮かつお」は、この地区で古くから正月の縁起物として食べられている保存食です。
内臓を取り除いた鰹を10日程、塩漬けにし、その後、2週間程伊豆西海岸特有の強い西風に当てて乾燥させたものです。
「潮かつお」はお茶漬けやお吸い物として食べられるものが一般的で、西伊豆町の飲食店では、B級グルメの「しおかつおうどん」を食べることができます。
こういった伝統製法の継承は鰹節の製法の継承にもつながっています。

カネサ鰹節商店のこだわり


古より伝えられた手火山式焙乾製法を受け継ぎ、製法や味にこだわり、先人より受け継がれたぬくもりをお届け致したい。
これらを守り、残し伝え繋いで行くことが使命だといいます。

今では荒節の鰹節が市場のほとんどをしていますが、
手間がかかる割に利幅が薄い本枯れ節をつくりつづけるのはプライドに近いと言います。

また、この想いから創業当時から地元の薪を使っているそうでうす。
それゆえに、伊豆田子節の味になるという。
地元の薪を使うのは先人の知恵でもあり、人間が一度手を入れた山は手を入れつづけないと守れない。
地元の薪を使えば山が保全され、栄養分豊富できれいな水が海に注ぐ。その教えを今も忠実に守っています。

カネサ鰹節商店の取り組み


この伝統の鰹節をどうつなげていくか。ということに非常に力を入れているカネサ鰹節商店。
本枯れ節や潮鰹をもっとよく知ってもらう活動として、地元の小中学校での食育講義や、大人向けのワークショップ、工場見学などだ。本枯れ節や潮鰹を味わってもらい、その歴史と文化を伝え、かつおぶし削りの体験もしてもらおうと取り組んています。

また、出汁を取る、料理をするということからだんだんと離れてしまっている現代。
そんな若者や忙しい方々に鰹節をより身近に感じていただけるよう商品開発にも取り組んでいます。

天然だしの料理本「おうちでできる天然おだし料理入門」という著作も含め3冊の料理本を出版されている、家庭料理研究家の高窪美穂子さんの
「気軽に手間なく、おいしい天然だしを味わってもらえるようにしたい!作る人も食べる人も笑顔になって欲しい」という思いから
鰹節をより身近に感じてもらえる高窪さんのオリジナル商品
『おだしマジック!粉鰹』の製品化にも協力しています。

いかに伝統を現代、未来に伝えるか。守るものは守りつつ新しいことにも挑戦するカネサ鰹節商店をご紹介しました。

店舗概要


カネサ鰹節商店
住所:静岡県賀茂郡西伊豆町田子600-1
TEL:0558-53-0016
https://katsubushi.com/

カネサ鰹節商店の鰹節が手軽に楽しめる商品

『おだしマジック!粉鰹』高窪美穂子さんの想いとカネサ鰹節商店の伝統で作らた粉鰹

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