イカ墨パスタはあるのに、タコ墨はなぜ無いの?

 “足の数が多くて、墨を吐く生き物といえば?”多くの方は「イカ」か「タコ」を思い浮かべるのではないでしょうか。それでは…
 “足の数が多くて、墨を吐く生き物のうち、墨が料理に使われるものといえば?“
 こうなると、どうでしょう。“イカ”になってしまいませんか?
 体の形も、食べたときの食感も、墨を吐くという特徴まで、何となく似ている両者ですが、なぜ“イカ墨料理”はあるのに“タコ墨料理”ってないのでしょう。
タコの墨は美味しくないから??この秘密を探って見ましょう。

“イカ”と“タコ”が墨を吐く理由

 両者とも外敵から身を守るために墨を吐きますが、使い方に少しだけ違いがあります。

イカの墨の吐き方

イカの墨はドロッとしてた粘液が含まれており、海中に墨を吐き出すと、散らばらずに塊となって漂います。この粘度のある墨は、敵の視界を遮るという理由ではなく、ドロッとした墨の塊を、自分自身の身代わりとして吐き出します。自分自身のダミーを作ることで、外敵はその墨の塊の方を本物のイカだと思い込み攻撃するそうです。そうです。イカは“分身の術”を使うのです。

タコの墨の吐き方

一方、タコの墨はというと、イカの墨にはあった粘性がなく、水っぽくサラサラしています。ですから、タコが墨を吐くと、海中に広がっていきます。この海中に拡散していく墨のおかげで、外敵の目を暗ませて、逃げ切ることができます。タコの墨は自分の姿を隠す煙幕として使われています。そうです。タコは“隠れ身の術”を使うのです。

 イカもタコも、周囲の環境に合わせて体の形や色を変えて擬態する性質を持っているので、まさに忍者ですね。

“イカ墨”と“タコ墨”の成分の違い

 墨の粘性の違いがわかりました。ということで…
イカ墨は粘性があるから、旨味成分がたくさん入ってる!?=イカ墨は美味しい!?
タコ墨はサラっとしているから、旨味成分が少ない!?=タコ墨は美味しくない!?
という仮説が立てられます。実際に成分はどのように違うのでしょうか。
 一般的に旨味成分として知られているアミノ酸である、アスパラギン酸やグルタミン酸、アルギニン酸・タウリンなどは、イカにもタコにも含まれています。それでは、これらの成分を多く含んでいるのは、イカとタコのどちらだと思いますか?…
正解は何と“タコ”なんです!全ての成分がイカよりも多く含まれています。ですから、タコ墨は美味しくないから料理に使われないということではありません。それではなぜ、タコ墨料理を見かけないのでしょうか。

タコ墨料理を見かけない理由

 旨味成分がイカよりもタコの方が多いことから、実際にタコ墨料理は存在して、美味しいそうです。でも、なぜタコ墨料理はなかなか浸透していないのでしょうか。答えは、結構簡単でした。
1つ目は、タコの墨が入っている墨袋が、イカに比べて非常に小さいという点です。タコはイカの墨の10分の1程度の墨の量しか持っていません。また、ほとんどのタコは水揚げされるときに墨を吐いてしまい、墨が残っていないため、なかなか、タコの墨を大量に集めるのは難しいのです。
2つ目は、タコの墨袋は取り出しにくいという点です。タコの墨袋は、イカと比べて体内の奥の方で、肝臓に埋まったように付いているそうです。そのため、墨袋を破らずに取り出すことが難しいのです。
と、いうことで、タコ墨料理がないのは、手間もかかるし、大量のタコ墨を集めるためにはコストがかかるという点で、なかなか見ないということがわかりました。ただ、タコ墨料理を扱うお店もあるようなので、もし見かけたら、食べるしかないですね。

おまけ ”イカサマ“の由来

 “イカサマ”とは不正行為を行って人を騙したり欺く行為ですが、その言葉の由来が、“イカ”からきているようです。
 江戸時代に、イカの墨で書いた書面の文字が、時間とともに薄くなり消えることを知った人物が、この性質を利用して、借用書をイカ墨で書き、お金をだまし取っていたそうです。これが元になり、不正行為を“イカ墨”と呼ぶようになり、徐々に変化して“イカサマ”と呼ぶようになったという説があります。

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