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食材

チコリはおしゃれな西洋野菜。フォルムを活かしてセンス良く使いたい

イタリア料理やフランス料理に欠かせない野菜、チコリ。日本ではお店で使われる食材というイメージが強いですが、フランス・イタリア・オランダなどでは家庭の食卓で日常的に食べられています。

ややこしいのは、その呼び名。日本では「チコリ」として流通していることが多いですが、フランスでは「アンディーブ」、イギリスでは「チコリー」と呼びます。

一方、チコリの仲間で葉先が縮れたような見た目をした野菜があり、日本やイギリスでは「エンダイブ」と呼んでいますが、これをフランスでは「シコレ」又は「チコリ」と呼んでいます。

チコリは種類が多いこともあり、混同される場合があるので注意しましょう。

ここでは日本で主流となっている呼び名「チコリ」として、紹介していきます。

チコリとは?特徴・旬・味について

チコリはヨーロッパ原産、キク科の野菜。輸入物が多いため一年中流通していますが、国産品の旬は冬(12月~3月頃まで)です。本来は赤い葉色をしていますが、日光に当てずに育てる「軟白栽培」をすることで、苦味を減らし、食べやすくしています。

軟白栽培によってできたチコリの若芽は、白菜の芯のような形状をしていますが、生で食べたときの歯触りはもっと軽やかでサクッとしています。ほんのりした苦味が特徴で、キク科ならではの香味です。

乳白色の葉の先が薄黄色のものと赤紫のものがあり、赤紫をしたものはチコリの仲間の「トレビス」に分類されることもあります。

またチコリはハーブとしても有名で、若芽(葉)の部分だけでなく、花、根のすべてを食用にすることが可能です。特に肥大化した根(塊根)には多くの薬効成分が含まれています。

乾燥させたチコリの塊根を粗挽きにして炒るとコーヒーの香りがすることから、フランスやベルギーではコーヒーの中に風味づけで入れたり、コーヒーの代用品として古くから親しまれています。

チコリの栄養成分と効能・効果

○ 苦味成分「ラクチュコピクリン」

「ラクチュコピクリン」はレタスやチコリなどに含まれる苦味成分で、鎮静作用があるため、リラックス効果や不眠症の改善などに期待がもてます。他にも抗マラリア作用、抗炎症作用、利用作用、鎮痛作用、鎮咳作用などにも効果があるとされています。

○ 水溶性植物繊維「イヌリン」

チコリの「塊根」に多く含まれている成分です。イヌリンは多糖類の一種ですが、体内で吸収されずに排出されるため、栄養学上は水溶性食物繊維に分類されます。

イヌリンは腸内まで到達して善玉菌のエサとなるため、腸内環境改善に効果的です。糖として吸収されないため、血糖値の上昇を抑えることができ、糖尿病の予防にも期待がもてます。

血液中の中性脂肪の低減、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす効果も指摘されています。

○ ポリフェノールの一種「チコリ酸」

こちらも塊根部分に多く含まれている成分で、「チコリ酸」には強力な抗酸化作用があるとして、近年大きな注目を集めています。抗炎症作用、抗菌作用、風邪の予防、血流改善、肝機能の維持、疲労回復、老化防止など、さまざまな効果が期待されています。

チコリのおすすめ料理、アレンジのポイント

  • 「チコリボート」

チコリの葉を一枚一枚はがして使います。チコリの葉を小舟に見立てて、好きな具材をのせるだけ。

チコリは苦味があるので、生ハムやサーモン、いくら、チーズ、ナッツなど、油分のあるものと合わせると味がまろやかになり、相性が良いです。

アボガドや明太子などをディップにしてのせたり、オリーブ、トマトコンカッセなどをトッピングして、色鮮やかにセンス良く盛り付けましょう。

  • 「チコリのグラタン」

チコリを縦半分~4等分に切って下茹でし、生ハムやスモークサーモンなどを巻いてグラタンの具材にします。冬に食べたい、ベルギーの定番料理です。

チコリを茹でるときは、レモン汁を少々入れておくのがポイント。加熱による変色を防ぐことができます。芯ごと食べる場合は、さらにグラニュー糖も少々入れておくと苦味が抑えられます。

▼おすすめレシピ

フードソムリエ様

さくらのおうちカフェ 様

  • 「チコリの天ぷら・フリッター」

苦味のあるチコリは、油との相性が良いので、天ぷらやフリッターにしても美味しいです。フリッターにする場合は、バルサミコソースをお皿に引いておしゃれに盛り付けて。

  • 「チコリのサラダ」

サラダにして食べるときは、シーザードレッシングのようなクリーミーなタイプがよく合います。ワインビネガーなどであっさり和えたい場合は、チーズやナッツ、ベーコンビッツなどをトッピングしてあげると旨味が加わって美味しくなるでしょう。

新鮮なチコリの選び方、保存方法

選ぶ際には葉先の変色していない、みずみずしいものを選びましょう。野菜は切り口から傷み始めるので、底の部分を確認することも忘れずに。

底の部分が茶色くなっていないかどうかを、鮮度の判断基準の一つにすると良いです。巻きのしっかりとした、重みの感じられるものを選びましょう。

またチコリを保存するときは、乾燥しないようラップで包み、冷蔵庫の野菜室に入れます。チコリの芯が下に向くように、立てた状態で保存してあげることが大切です。


チコリの日本の産地、仕入れ元

西洋野菜であるチコリは輸入品が多く出回っていますが、旬を味わうなら、新鮮な国産チコリをぜひ仕入れたいところです。

国産チコリで有名なのが岐阜県中津川市に本社を構える「株式会社サラダコスモ」で、チコリの生産量日本一を誇っています。

「株式会社サラダコスモ」(産地:岐阜・長野)

カット野菜やオーガニック・スプラウト、機能性に優れた発芽野菜を提供している企業。もともと生産していたのはもやしやカイワレ大根などの発芽野菜でしたが、その技術がチコリの栽培にも活かせるとして、2006年から国産チコリの生産を開始。

観光生産施設「ちこり村」を建設し、チコリの国産化を通して食糧自給率の向上、休耕地の有効利用、高齢者の雇用、地元の地域活性を目指しています。チコリ栽培で生じるチコリの塊根を使った焼酎造りなど、加工商品にも力を入れています。


▼参考サイト

「しゃかいか!」様

※その他には、北海道や埼玉などでも栽培されています。

  • 北海ホワイトチコリ(北海道)

外食店との取引も可能。


  • さいたま農業協同組合(JAさいたま)

特産物としてチコリの栽培に力を入れています。

結びに

チコリはキク科の野菜のため、キク科アレルギーの人は注意してください。

また、ヨモギ花粉症の人はヨモギがキク科のため、チコリを食べると口腔アレルギー(OAS)を起こす場合があります。

口腔アレルギーの主な症状は、口の中(のど、唇、舌など)がかゆい、イガイガするといった部分的なものですが、稀に腹痛や下痢、じんましん、呼吸困難などを引き起こすこともあり、さらに酷い場合は「アナフィラキシーショック」を起こすこともあるため、注意が必要です。


▼キク科アレルギーについての参考サイト

eo健康(OPTAGE)様:「花粉症」と「果物・野菜アレルギー」との意外な関係

クミタス(willmore)様:「菊接触皮膚炎」


<参考サイト様>

 (順不同)


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