食材紹介
『トコブシ』は夏が旬の食材!アワビよりも美味しいってホント!?
「トコブシ」という食材をご存知でしょうか? 知らない方もおせち料理などで一度は味わったことがあるかもしれません。 「トコブシ」の秘められた魅力をアワビとの違いに注目しながら、ご紹介していきたいと思います。
目次
トコブシとは?
トコブシはアワビに見た目が似ていること、 サイズが小型であること、 この2点からアワビの子供と勘違いされていたり、 一段劣る食材として扱われていたりする貝です。
そんな『トコブシ』ですが、実は ”アワビよりも美味しい!” という声もあるくらいの隠れた逸品食材なのです。 ここではトコブシの由来と産地についてご紹介します。
トコブシの由来 『トコブシ』というカタカナ表記が広く一般的ですが、 漢字で『床伏』『常伏』などと書きます。 1843年に武蔵石寿が記した貝類書 『目八譜(もくはちふ)』に 「”床”は浅い場所、”ふし”は小さい」 という意味で記載されたのが名前の由来といわれています。 他にも、「”常”に岩のくぼみに”伏した(隠れた)”貝」ということで『常伏』になったという話もあります。
また、多くの魚介類と同じように、 『コブク』『セツムシ』『センネンゴ』『コアワビ』などと様々な呼称が地域によって存在します。 中でも一番有名なのは、 徳島県や高知県など広い地域で呼ばれている 『ナガレコ(流れ子)』でしょう。
岩の表面を流れるように這う様子が由来のようです。 また、『フクダメ(福溜)』の別名もあり、 「福を溜める」とされ縁起物として用いられています。
旬の時期と産地
『トコブシ』が一番美味しくなる時期は5~8月、 晩春から夏といわれています。産卵期である9月に向けて、 コンブやワカメなどの褐藻類を食べ、 その身に栄養をたっぷりと蓄えています。
基本的に『トコブシ』は北海道南部から九州にかけての太平洋及び日本海沿岸部に広く生息しているため、 どこでも採ることができる身近な食材です。
水揚げ量から考えると高知県や徳島県など四国が日本一の産地と呼ばれており、 醤油、砂糖、みりんで煮付けた缶詰に加工され、 通販などで全国へ販売されています。
トコブシとアワビの違い
見た目から良く比較されるトコブシとアワビですが、 実際どんな点に違いがあるのか、 見た目や値段の違いを見ていきます。
トコブシとアワビの見分け方
外見での見分け方で重要なポイントは3点あります。 1つ目は、サイズです。 アワビの殻長は20~25cm、 『トコブシ』の殻長は7~12cmと大きさに開きがあります。
2つ目は、殻穴の数です。 アワビの4~5穴に比べて、 『トコブシ』の殻穴は6~9穴と多くあります。ちなみに穴の形状にも違いがみられ、 『トコブシ』はアワビのように煙突状ではありません。
3つ目は、身の形状です。 アワビは厚い唇のような見た目ですが、 『トコブシ』は平べったい形をしています。
トコブシとアワビの値段
近年では数の減少に伴ない、値段が高騰しています。 築地市場における『トコブシ』の平均卸価格は1キロ当たり3,625円。 国内での漁獲量だけでは需要に追い付かないので、 主に台湾からの輸入品も数多く流通しています。 こちらは1キロ当たり5000~6000円ほどで販売されていることが多いようです。
ちなみに、築地市場におけるアワビの平均卸価格は1キロ当たり8,950円でした。 やはり、アワビって高いですね…。
トコブシを味わうおすすめ調理法
良く耳にするように、 アワビはコリコリした食感と甘みが強いのが特徴です。 一方の『トコブシ』はアワビより柔らかな食感が特徴です。 そんなトコブシを味わうのにおすすめの調理法をご紹介します。
刺身
アワビより柔らかな食感とはいえ、 新鮮なトコブシは程よい食感が楽しめます。 アワビのほうが海の深いところで生息している分、 風味や甘みが強いとされていますが、 甘みに関してもそこまで大きな違いはありません。
むしろトコブシはキモのえぐみも軽減されていますので、 貝類が苦手な方も食べやすいのが特徴です。
煮付け
アワビに比べ身が柔らかく、 熱を加えても硬くなりにくいことから、 煮付けたり蒸したり焼いたりと、 火を加えて料理しても美味しく頂けます。
醤油、砂糖、みりん等で煮付けにするのがおすすめです。
身が柔らかいとはいえ、火を加え過ぎると食感や風味を損なうので、 加熱し過ぎないのがコツです。
トコブシの販売・仕入先
嬉しいことに通販でトコブシの仕入れも可能です。 旬の時期は活きたトコブシも流通する様なので、ご紹介します。
【通販】のんきな魚屋
高知県室戸から、海女さんが潜水漁で採る新鮮なトコブシを産地直送でお届けします。 活の状態にこだわるため、 漁期の4〜8月しか取り扱わない貴重なトコブシです。
【通販】食べチョク「伊豆うさぎや」
穫ったばかりのトコブシを活かし籠に入れて3日程砂を吐かせ、-60℃で急速冷凍しています。 そのため味も落ちにくく、解凍してすぐ食べれるのが嬉しいですね。
結びに
『トコブシ』の味はアワビに劣ると言われたりしますが、 大差ないという意見もあります。 実は、味の違いがわかる人は意外と少ないのだとか……。 アワビ級の美味しさの貝と言えば、 『トコブシ』って魅力的ですよね! 旬である夏に、『トコブシ』とアワビの食べ比べもいいかもしれないですね。 最高級食材であるアワビに負けない美味しさ、ほどよい食感はあなたを虜にしてくれること間違いありません。