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生産者/料理人

青森県のフリーランス漁師が限界集落を「ぶち抜く」リアルストーリー

画像出典元: https://www.instagram.com/yutaka.takamori/

『喰うもの美味し酒コまだ。三方海こさ囲まれてそれでも出て行ぐ馬鹿こ居る』

引用元:吉幾三「TUGARU」より

青森県は太平洋と日本海、そして陸奥湾の3つの海に囲まれている漁業県です。八戸港や大間のマグロなど、全国的にも知名度が高い漁場があります。初セリで億超えを記録するマグロは毎年ニュースになる程です。億り人ならぬ、億り漁師として豪勢な暮らしをしているのかというイメージも少なからずあります。

しかし、雪国漁師のリアルは異なります。青森県内の過疎化地域の経済状況は年々悪化しているのです。人口流出も悪化しています。限界集落といわれている「人口の50%以上が65歳以上の高齢者で占められる」地域も増加しているのです。

青森県東津軽郡外ヶ浜町。津軽海峡冬景色の歌詞にある「ご覧あれが竜飛岬」がある町です。その町の一角に、限界集落からイノベーションを起こすべく、1人の漁師が立ち上がります。

高森優(たかもりゆたか)さん。

『限界集落からイノベーション!』をテーマに、本当に美味しいもの、そして「漁師のリアル」を都市に届けようと、孤軍奮闘しています。

高森優・鷹丸高森漁業・鷹丸

青森県東津軽郡外ヶ浜町蟹田で、ホタテ養殖をメインに、カゴ網漁、刺網漁など幅広くやっています。『限界集落からイノベーション!』をテーマに日々コツコツ小さな積み重ねをする毎日…叩かれながらもがき、ホントの美味しさを都市の食卓に届けるため、自然と闘い日々奮闘中!海の今をお届けします!

引用元:高森優noteより: https://note.com/takamori2427

高森優さんは大学を卒業後、都内の住宅販売会社に就職します。今でいうブラック企業で、2年間働き、あることに気が付きました。

「これくらい都会で頑張れるんだったら、地元に帰って漁師になってもすごいことができるんじゃないか!?」

そう一念発起し、故郷外ヶ浜町へIターン。2002年から家業でもある漁業に取り組み始めました。その後、個人事業主として鷹丸高森漁業を設立し、鷹丸という漁船に乗って漁をしています。

青森県東津軽郡外ヶ浜町

青森県東津軽郡外ヶ浜町は、津軽半島の北東側、陸奥湾に面している町です。総人口は5000人程で、その大部分を高森さんが拠点にしている「蟹田地区」が占めます。陸奥湾沿いに多くの漁船が立ち並び、内地へ向かうと水田や畑、ビニールハウスによる農業も盛んです。

むつ湾フェリーが運行しており、陸奥湾を横断して、青森市を含む津軽地方と本州最北端のむつ市を繋ぐ重要な海運拠点でもあります。青森県の主要特産物である「ホタテ」の養殖が盛んで、陸奥湾沿いの漁師は、養殖業とカゴ網漁、刺網漁をメインにしています。


未来型漁師とは

高森さんの漁業スタイルは、これまでの漁師の在り方にメスを入れる大胆な手法です。漁師の勘頼りだった「ほたて」の成育データを細かく記録しています。蓄積された水温や水深といった情報を元にPDCAサイクルなどを活用して、確実な成育を行なっているのです。

また、流通の仕組みにもメスを入れました。従来の漁師は、漁協経由で収獲した魚介類を出荷していました。しかし、出荷できる魚介類の基準はかなり高い上、出荷料金も漁師ではなく漁協が決めているのが現状です。

出荷できない魚介類は自分自身で消費するか、捨てるしかありませんでした。ロットと呼ばれる収獲高以下の魚介類や、ほんの少し爪でひっかいたような傷がある魚介類はまさに「人間の都合によって廃棄されてしまう」状態になっていたのです。

こうした魚介類は「未利用」の物として扱われていました。しかし、漁師である高森さんは、この未利用の魚介類の本当の美味しさを伝えたい、届けたいという想いを強く抱くのです。

それが、インターネット販売をする未来型漁師の誕生のきっかけです。生産者直売方式のインターネット販売サイトに登録し、日本全国へ未利用の魚介類をセット販売するビジネスモデルに挑戦しています。しかし、高森さんの手法は、他の漁師からは非難を浴びる結果になってしまいます。

「叩かれながらも、もがき、ホントの美味しさを都市の食卓に届ける」は高森さんのミッションです。限界集落であっても、消費者に美味しい魚介類を届けたい。この熱い想いが未来型漁師、高森さんのモチベーションなのです。

限界集落のリアル

高森さんは順風満帆に現在のビジネスモデルを作り上げた訳ではありません。他の漁師からの嫌がらせ行為など「いじめ」とも取られることを散々やられてきたのです。

全国版の朝日新聞に「村八分実話」として掲載された経験があります。旧蟹田町の名前の由来でもある「トゲクリ蟹」の収獲で使う籠。この籠を繋いでいたロープをナイフで何者かに切られたのです。すぐに漁協に通達し、文書を出してもらいました。

しかしそれだけではありません。青森県津軽地方では、誰かが上げ足を取って今いる位置から引きずりおろす行為を「足引っ張り」と呼びます。なにかに付けて重箱の隅をつつくように批判されたり、ちょっとしたミスで激しく罵倒されたりと散々な経験をしてきました。

高森さんはいいます。

「すべて、自分を成長させてくれるチャンスです。こういう風には絶対なりたくないという人たちは最高の反面教師です。そう考えたら、足を引っぱる人が増えるほど、青森だって東京を超えるスーパーハイレベルモードの学びの場になる。」

こうした「学び」のマインドを持っている漁師は全国に何人いるのでしょうか?限界集落の厳しい環境を「学びの場」と捉える高森さんの人間力に脱帽です。

未来型漁師のこだわり

高森さんのこだわり。それは「リアル」を知って欲しい、食べて欲しいということ。

このコラムを書くにあたり、直接高森さんとお話させて頂きました。私筆者はフリーランスのライターとして、メリットや良い面ばかりにスポットを当てて執筆することもできました。

しかし、高森さんはそれを固辞します。

ポジティブでもネガティブでも「リアル」を伝えて欲しい。美味しい魚介類を都市部にインターネットを通じて販売していること。ビジネス手法でやっかみや「足引っ張り」にあっていること。

そして、地球温暖化など自然の変化に合わせて漁のスタイル(作業)を細かく調整していること。こうした、漁師の「今現在のリアル」を消費者に伝えることで、魚離れやフードロスからの脱却、フェアトレードの成立にはなりません。

生産者が苦しめば、消費者にいずれ付けが回る。時代の変化に応じて色々なことを変化させなければ、生き残れない。変化に対応できる心構えが無いと、これからは生きていけない。こうした考えを漁業を通じて、生き方として伝えていきたい。

極寒の地、青森県外ヶ浜町には、ねぶた祭りよりも熱い漁師がイノベーションを実践していました。

鷹丸高森漁業・高森さんからこの記事を読んでいる方へメッセージ

皆さんはじめまして

青森県の陸奥湾津軽半島側の外ヶ浜町蟹田でホタテ養殖を中心に漁師をしている高森優です。

ポケットマルシェでは、ホタテや未利用低利用になる海産物を現場のリアル‼というコミュニティ投稿と共に食べる教材として販売しています。僕が個人で販売するきっかけは

「既存の流通への不満」でした。

思い起こせば、今から6年前の2013年になります。市場に出荷しても、この魚は青森では食べないから、関西まで運ばなきゃダメなので、運賃が掛かるから安くないと売れない。ちょっと傷がついていると見栄えがダメだから活魚では扱えません。味は同じなのにかかわらずです。

同じ魚種で一箱にならないので、込み魚にして一箱出荷しても安く買い叩かれます。地元では知る人ぞ知る美味しい魚でも、なじみがないという理由でいつまでも安く買たたかれるのです。他にも様々な理由で安く買いたたかれる魚たちがいます。全部、仲買人の都合じゃないかと思ってしまいます。

弱者である生産者は、経費は年々高くなる一方で消費者の魚離れをはじめ、年々安くなり続けています。ホントは凄く美味しいのに、美味しさが既存の流通では全く伝わってないとはがゆい想いを抱えています。

このままじゃだめだ…という想いで、ごく数人の青森県内の仲間たちと未利用、低利用になる魚を都市の飲食店に直接販売したのが全ての始まりです。

その頃から徐々に社会の流れが変わり、様々な民間企業や漁業団体がやり始めて、今でこそ既存の流通だけじゃない販売方法が社会にだいぶ浸透してきましたが、それでもまだ市場の仲買人たちは昔と全く変わってないのが現状です。

去年も市場に見学に行った際も、加えタバコで魚を裏返して品質を見たり…明日は、シケるから明日まで買わずに残して安く買おうと仲間で話を合わせたり…こっちは、訳モノを良い状態で売り、消費者に満足感を得てもらいたいのに自分の都合だけを考えて、魚を扱っているのを見て愕然としました…

こんな人たちとできるだけ関わりたくない…

こんな人たちに魚を扱って欲しくない…

今の市場のシステムは、誰でも簡単に出荷でき素晴らしいシステムだけど、昭和の大量生産、大量消費の時代に合わせて作り上げたモノを継続しているだけで、何も進歩してないし、なにしろ大きくなりすぎて、私利私欲化され一部の人間にメリットが集中しすぎていると、僕は思います。

生産者から消費者にクリアにお金と生産物が循環するシステムを再構築すべきだし、時代が平成を終えようとしている今、未だに何も変えないでいようとすること自体がおかしいと思います。

僕は、先駆者として生きていく以上

壊し屋

であり続けたいと思います。

昔は良かった…今のままがイイ…

僕の地域では、そんな声がほとんどですが、批判されてもイイ、あいつはおかしいと言われてもイイ

時代も生きているし自然も生きている。

地球温暖化で資源の枯渇が深刻な今

変わっていくのが当然です!

『逸品グルメ』で一部商品の販売を開始!

鷹丸高森漁業では、少量ですが『逸品グルメ』-お取り寄せ-での取り扱いもスタートします。リアルな漁師から本当に美味しい魚介類をお届けします!

極寒の地、青森からの直送です。是非一度、津軽の味覚をお試しください。

フリーランス志向の漁師はまさに未来型漁師!

高森さんの考えは、フリーランス志向という言葉がぴったりくるほど、先を見据えています。組織に依存しない、自分で営業先を見つける、自ら情報を発信するという点ではこれまでの漁師の「在り方」とは大きく異なるアプローチをしています。

高森さんが叫ぶ「限界集落からのイノベーション」が日本全国で広がることを期待します!


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